『Good Game』感想
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読了。サムネがとにかく魅力的で釣られた。
中身は「本当に墜落した『NHKにようこそ!』」って感じだった。いや、序盤を除けば別に全然NHKっぽくはないんだけど。
キャラがかわいい、テーマが分かりやすい、目的が明確、ということで基礎はほぼ完璧だったし、2巻11話という超高速で打ち切られるほどひどくは断じて無い。じゅうぶん面白いし8巻くらいまでは続いてもよかった。
ていうかここまで明確に”打ち切られた”話をはじめて見た。まだ着陸のための車輪も出してなかったで。あまりにも道半ばな終わり。それでもおそらく単行本で追加収録したであろうオマケ話でアジア編の結末を描いてくれていたのはナイス根性です。
とにかく序盤のツカミが良かった。テンプレっちゃテンプレな展開なんだけど、画力と絵柄が相まってダマシ力が高い。ヒロインがこれだけ可愛ければヒロイン力だけである程度もっていけるレベル。暴力系ヒロインというのはかなりハードル高めではあるが、可愛さで相殺されてあまりイライラさせられない。あと無意味な暴力性ではなくて「女王様と奴隷」というダイナミクス上のものだから描写がただのノイズにならないという点でも良い。
敗因はなんだろう。うーん。鷹揚に構えすぎたかな。サムライ8とかもそういう問題があったらしいですけど、打ち切られることを想定せず風呂敷を広げすぎたとか。ただ大会順序的にはむしろポンポン行ってる方だしそんなに大きく広げた感じもなかったが……。主人公が負けたのがダメだったか?一応次の大会には進めるとはいえ、ニア俺TUEEE系として描写されていたのを「負かせる」理由ってあんまりないかもしれない。どのみち次に進むなら尚更。トップとの実力差を表現したいならはじめから「無学で超強い」みたいな設定にしなければいいし、そのへんチグハグっちゃチグハグかもしれない。センスだけでは勝てないというのは練習の段階で充分表現されていたし、センスだけでは無理でもセンスとパッションだけなら勝ってもよいというのが漫画の鉄則ですから。エレナがかわいいとはいえ常時奴隷扱いでほぼまともに褒められないストレスは読者に蓄積されていただろうから、「かろうじて次へ」よりもスッパリ勝ってカタルシスを描いた方がよかったか。個人的には別にどっちでもいいんですが。
それより問題はネームドキャラをいたずらに増やしすぎたのと、目的に直接的に沿わない中だるみ的展開。特に2巻以降。最終話直前までお遊びパーティーに2話くらい費やしてますからね。読者アンケートなるものがあるとしたらここでガクンと落ちたに違いない。勝敗がどうでもいいゲームに複数話費やすのは愚行過ぎる。リンリンを簡単に捨てすぎたというのもある。結局優勝は出来てないんだから、一時的にでもリンリンに奪われた方がサブテーマのエレナと主人公のダイナミクスの魅力も上がったはず。つまり……約束を反故にしたことでエレナの好感度が相対的に下がってしまったのと、リンリンにおいて描写されていたZAでいうカエデ的な狂気が無視されてしまったという点であの帰結は「納得感が薄い」。
これくらいかなぁ。でもいずれもnegligibleなミスだと思うし、素体は依然充分面白かったのだけど。雑誌があってないかもね。雑誌?(発作)コミックガムで連載すれば10巻は続けられた。
余談だが、追加要素がある新装版があるらしい。原作は2010年発刊だけど新装版は2021年発刊。興味あるね。

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